| 2人の人が1つのさいころを1回ずつ振り、大きい目を出したほうを勝ちとすることにした。ただし、このさいころは必ずしも正しいものではなく、Kの目の出る確率は\(P_K\)である(K=1.2.3.4.5.6)。このとき (1)引き分けになる確率Pを求めよ。 (2)P≧\(\frac{1}{6}\)であることを示せ。また、P=\(\frac{1}{6}\)ならば\(P_K\)=\(\frac{1}{6}\)である(K=1.2.3.4.5.6)ことを示せ。[京都大学] |
(1)は簡単です。中級者ならすぐに正解できるでしょう。
正解は、P=\(P_1\)2+\(P_2\)2+\(P_3\)2+\(P_4\)2+\(P_5\)2+\(P_6\)2です。
(2)を難しいと感じる生徒が多いようです。「少々数学ができる」程度では解けないと思います。
まず、P≧\(\frac{1}{6}\)ということは、Pの最小値が\(\frac{1}{6}\)であるということに気づきましょう(ここに気づけない人が意外に多いです)。最小値に関する問題に対しては、相加相乗、微分などを用いることも多いですが、真っ先に思いつくべきは平方完成です。中高一貫校の生徒なら中2か中3で習うはずです。そう、実はこの問題は、知識的には中3で解けます。
次に、\(P_1\)+\(P_2\)+\(P_3\)+\(P_4\)+\(P_5\)+\(P_6\)=1であることも確認しておきましょう。当たり前ですね。しかし、侮ってはいけません。こういう当たり前なことも、問題用紙か答案用紙の端っこにメモしておきましょう。
最後は、この2つを頭に入れながらいろいろ試してみます。先日指導した高3生は以下のようにノートに書いていました。

上の2つの方法はあえなく失敗です。そもそもやっていることが平方完成ではない。
さらに掛け算の形ができてしまうので、\(P_1\)+\(P_2\)+\(P_3\)+\(P_4\)+\(P_5\)+\(P_6\)=1が使えない。
しかし、彼は2つの失敗をしたことでどうすればいいかがわかってきたようです。「失敗は成功のもと」です(私がいつも生徒に伝えている言葉です)。
最終的に彼が書いたのがこれです。

どうですか。確かにこれは平方完成ですね。何度かの失敗を生かして見事正解にたどり着きました。
私の授業はいつもこんな感じです。予習で解けなかった問題の解説をすぐには行わず、生徒からするとヒントなのかどうなのかわからない言葉を投げかけて改めて考えてもらいます。たくさん試してもらいます。何度も失敗しますが最終的には自分の力で解ききることを目指します。
私の授業を受け始めのころの生徒は、簡単に予習の問題を諦めます。予習のノートはほぼ白紙です。改めて授業中考えてもらってもなかなか手が動きません。それもそのはずです。それまで通っていた塾や予備校で、自分の頭で考えることをしてこなかったからです。正しい解法を教えてもらうだけで、自力で考え抜くという経験を積んでこなかったからです。結果、すぐに諦める癖が身についてしまっています。それでは本番で他の受験生と差のつく問題が解けるはずはありません。
世の数学中級者のみなさん。本当の意味で数学ができるようになりたいと思いませんか。簡単な模試で結果を出せていても、実のところ、問題が難しくなったら解けないことはわかっているはずです。思考力さえ身につけば、ほとんどの問題は制限時間内に解けるようになります。楽しみながら数学とお付き合いできますよ。